リンパの基本知識2
2024年06月16日
リンパ節
毛細リンパ管として始まってから静脈に注ぐまでの間にリンパ管は何度も合流します。
この合流する部分にそら豆のような形をしたリンパ節と呼ばれる場所があります。
リンパ節には、リンパ球、マクロファージなどの免疫細胞が集まっており、多くは白血球の仲間です。白血球は血液に含まれ、血液を通じて全身を異物から守るためにパトロールしています。
リンパ球はリンパ管の中を流れながら、全身を巡り、細菌や有害物質に備えています。
異物の侵入を確認すると、リンパ節ではこれらの異物が血液循環系へ侵入するのを防ぐために免疫細胞が戦います。
免疫細胞が異物を攻撃、破壊し、食べつくしてくれるため、リンパ液はきれいな液体となって、流れていきます。
たとえば、のどの奥にある扁桃腺は、リンパ節の1つです。
風邪をひくと腫れることがありますが、これは扁桃腺の中でリンパ球が増えて、細菌と戦うために起こる現象です。
リンパ節から出たリンパ管はさらに合流を繰り返し、静脈に注ぐまでの間に数千にも及ぶリンパ節を通過していきます。
リンパ系
これまでにも書いてきましたが、毛細リンパ管に取り込まれたリンパ液が、リンパ管を通じて全身をめぐり最後に静脈に合流する一連の流れをリンパ系といいます。
リンパ系の役割は主に以下の4つです。
①戻れなくなった水分を血管へ送りかえす
血管から出て血管に戻れなかった水分(組織液)をリンパ管に集め、静脈まで運びます。
これにより血液はその量を大きく増減させることなく、循環することができます。
②免疫反応の中核を担う
免疫細胞の1つであるリンパ球は胸腺と呼ばれる器官で自己と非自己を学び、的確な指令を出して外敵から体を守ります。
③吸収した脂肪分の運搬
小腸で吸収された脂肪分(乳糜)は腸のリンパ管に取り込まれ、胸管を通って静脈まで運ばれます。
このため、小腸の内壁にあるリンパ管は乳糜管と呼ばれることもあります。
④タンパク質、有害な生物(ウィルスなど)、老廃物をろ過
リンパ節内の免疫細胞が、タンパク質、細菌やウイルス、細胞の代謝から生じた老廃物などを攻撃、倒し、最終的にリンパ液はきれいな状態で静脈へと戻っていきます。
リンパ系は体にとって下水道、浄水場のような存在です。
このようなリンパ系はほとんどの臓器に見られますが、骨、骨髄、軟骨、中枢神経系、胸腺、胎盤および歯には存在しないと考えられています。
三焦
先にも書きましたが、リンパ系は体にとって下水道、浄水場のような存在です。
実は東洋医学でもそのような表現をする存在があります。
それが「三焦」です。
東洋医学における内臓の総称を臓腑といいいます。
昔の人はお酒を飲むと「五臓六腑にしみわたる」などと表現していましたね。
この五臓六腑という言葉は東洋医学から来たものです。
五臓は肝・心・脾・肺・腎
六腑は胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦
臓は実質臓器、中身がつまったもの
腑は中腔臓器、袋や管状のもの
三焦は六腑に含まれます。
そして他の10個の臓腑は現在でも同じ名称のものですが、三焦だけありませんよね。
三焦とは、上焦・中焦・下焦のことです。
上焦:横隔膜より上にある心・肺および頭顔面部など
中焦:横隔膜より下で臍より上にある脾・胃
下焦:臍より下にある肝・腎・小腸・大腸・膀胱など
東洋医学の原典である「黄帝内経」の「霊枢」には以下のようなたとえをしています。
上焦如霧 霧のように一面に広がってすべてを覆いつくす
中焦如漚 発酵して生じる泡
下焦如瀆 排水溝のような溝
三焦には気と水の通り道で五臓六腑に送りだす働きがあります。
上焦・中焦・下焦という臓腑の入った3つの袋でそれぞれをつないで気と水が交通しているイメージです。
まさにこれはリンパ系のような性質を持っていると言えるのではないでしょうか。