必須栄養素 ミネラル

2024年07月16日

ミネラル

ヒトにおいて必須性が認められたものであり、日本食品標準成分表(八訂)では以下の13のミネラル(無機質)が記載されています。


ナトリウム Sodium
細胞外液の浸透圧維持、糖の吸収、神経や筋肉細胞の活動等に関与するとともに、骨の構成要素として骨格の維持に貢献します
欠乏により疲労感、低血圧等
過剰によりむくみ、高血圧等
腎機能低下により摂取の制限が必要となる場合があります

カリウム Potassium
細胞内の浸透圧維持、細胞の活性維持等を担います
食塩の過剰摂取や老化によりカリウムが失われ、細胞の活性が低下します
必要以上に摂取したカリウムは通常迅速に排泄されますが、腎機能低下によりカリウム排泄能力が低下すると、摂取の制限が必要になります

カルシウム Calcium
骨の主要構成要素の一つで、ほとんどが骨歯牙組織に存在しています
細胞内には微量しか存在しませんが、細胞の多くの働きや活性化に必須の成分です
また、血液の凝固に関与し、血漿中の濃度は一定に保たれています
成長期にカルシウムが不足すると成長が抑制され、成長後不足すると骨がもろくなります

マグネシウム Magnesium
骨の弾性維持、細胞のカリウム濃度調節、細胞核の形態維持に関与します
細胞がエネルギーを蓄積、消費するときに必須の成分です
多くの生活習慣病やアルコール中毒の際に細胞内マグネシウムの低下がみられ、腎機能が低下す
ると高マグネシウム血症となる場合があります

リン Phosphorus
カルシウムとともに骨の主要構成要素であり、リン脂質の構成成分としても重要です
高エネルギーリン酸化合物として生体のエネルギー代謝にも深く関わります
腎機能低下により摂取の制限が必要となる場合があります

鉄 Iron
酸素と二酸化炭素を運搬するヘモグロビンの構成成分として赤血球に偏在しています
筋肉中のミオグロビン及び細胞のシトクロムの構成要素としても重要です
鉄の不足は貧血や組織の活性低下を起こします
鉄剤の過剰投与により組織に鉄が沈着すること(血色素症、ヘモシデリン沈着症)もあります

亜鉛 Zinc
核酸やたんぱく質の合成に関与する酵素をはじめ、多くの酵素の構成成分
血糖調節ホルモンであるインスリンの構成成分等
欠乏により、小児では成長障害、皮膚炎が起こる
成人では皮膚、粘膜、血球、肝臓等の再生不良や味覚、嗅覚障害が起こるとともに、免疫たんぱくの合成能が低下

銅 Copper
アドレナリン等のカテコールアミン代謝酵素の構成要素として重要です
遺伝的に欠乏を起こすメンケス病、過剰障害を起こすウイルソン病が有名

マンガン Manganese
ピルビン酸カルボキシラーゼ等の構成要素
マグネシウムが関与する様々な酵素の反応にマンガンも作用
マンガンは植物には多く存在するが、ヒトや動物に存在する量はわずか

ヨウ素 Iodine
甲状腺ホルモンの構成要素
欠乏すると甲状腺刺激ホルモンの分泌が亢進して甲状腺腫を起こす

セレン Selenium
グルタチオンペルオキシダーゼ、ヨードチロニン脱ヨウ素酵素の構成要素
土壌中のセレン濃度が極めて低い地域ではセレン欠乏が主因と考えられる症状がみられ、心筋障害(克山病)が起こることがある
(克山病:心臓の内壁に損傷を与え、心筋症を引き起こします 克山は世界で初めてこの病気が発見された中国の地名)

クロム Chromium
糖代謝、コレステロール代謝、結合組織代謝、たんぱく質代謝に関与
長期間にわたり完全静脈栄養を行った場合に欠乏症がみられ、耐糖能低下、体重減少、末梢神経障害等が起こる

モリブデン Molybdenum
酸化還元酵素の補助因子として働きます
長期間にわたり完全静脈栄養を施行した場合に欠乏症がみられ、頻脈、多呼吸、夜盲症等が起こる


前半はよく目にするミネラルですが、後半はいかにも金属なものやあまり見かけない名前のものがありますね。
上記13種のミネラルのうち、成人の一日の摂取量が
100 mg以上の
ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リンを多量ミネラル
100 mg以下の
鉄・亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・クロム・モリブデンを微量ミネラル
このように分類することがあります。

次回から主なビタミン、ミネラルを取り上げて紹介します。

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