オートファジーで健康長寿

2024年05月16日

オートファジーが低下すると、老化や病気の原因になります。
逆に言うと、オートファジーが活性化する生活をすると病気や老化を予防できて健康長寿になれるのです。
現時点ではそんな薬はないし手術してどうこうというものではありません。
歳を取ると「ルビコン」と呼ばれるタンパク質が増えやすく、オートファジーを抑制します。
オートファジーの最終ステップであるオートファゴソームとライソゾームの融合を抑制し、細胞内のルビコンが増加するとオートファジー機能が低下します。
なのでルビコンをなくすとオートファジーが下がらず寿命が延びます。
現在はこの不要なタンパク質であるルビコンを除去する方法が研究中です。

セルフケアでオートファジーを活性化

カロリー制限や生殖細胞の除去などの寿命の延びる方法の共通点はオートファジーの促進です。
そのために自分でできることをやってみましょう。


オートファジーのスイッチを入れる食品
( )内は有効成分
豆類・発酵食品(スペルミジン)
スペルミジンは生体内ポリアミンです。
ポリアミンは生体内で必須な化合物であり、中でもポリアミンの一種であるスペルミンは、転写の活性化・重金属や活性酸素からの細胞の保護などの重要な機能を担っています。 細胞内のスペルミンは、生合成経路と細胞外からの取り込み経路から供給されます。
スペルミンは、最初に発見されたポリアミンであり、細胞の新陳代謝などに深く関わっています。 
スペルミジンは、細胞の生まれ変わりに関与している酵素を、活性化させる作用を持っています。
細胞の生存、増殖、ミトコンドリアの機能維持に必須です。
加齢とともにその生体内濃度は低下します。
スペルミジンはがん免疫を活性化する成分です。
・ぶどう・赤ワイン(レスベラトロール)
レスベラトロールは抗酸化作用を持つポリフェノールの一種です。
カロリー制限をすると活性化する長寿遺伝子のスイッチをオンにする働きがあると言われています。
エビやカニの殻・鮭(アスタキサンチン)
アスタキサンチンは赤色の天然色素(カロテノイド)の一種です。
高い抗酸化作用を有することで知られています。
・ざくろ・ナッツ類・ベリー類(ウロリチン)
ウロリチンはザクロなどに含まれるポリフェノールの一種のエラグ酸が腸内細菌によって代謝されてつくられる腸内代謝物です。
脂肪の合成を抑える働きがあり、特に肝臓での中性脂肪や脂肪酸の生成を減少させる効果が確認されています。
これにより、血液中に含まれる中性脂肪の増加が抑えられ、脂肪細胞の分化と肥大化が抑制されます。

オートファジーのスイッチを入れる生活習慣
適度な運動
高脂質食(ルビコンが増えてしまう)を控えめに
カロリー制限
食事の間隔を十分にとる(極端な断食はNG)
十分な睡眠(寝る間際に食べない)

過度な断食をしなくてもオートファジーは常に起こっています。
ダイエットとしてオートファジーを活用するのはおすすめではありません。

美肌や老化にも関わるオートファジー

美肌にもオートファジーは関係します。
ケラチノサイトにメラノソームがどれだけあるかで皮膚の色が決まります。
オートファジーにはメラノソームを分解する働きがあります。
オートファジーが活発な人の皮膚は白く、オートファジーがあまり起こらない人の皮膚は黒くなりやすいです。

オートファジーは皮膚はもちろんのこと、全身の老化に関係しています。
ゆえに、オートファジーで老化を変えられる可能性があります。
・免疫も老化する
・抗体を作れなくなるのはオートファジーが下がっているため
・スペルミジンを投与し、オートファジーを上げることで、老人の細胞でも再び抗体を作れるようになったという論文発表がある

免疫細胞ではない細胞でもオートファジーを使って病原菌やウイルスをやっつけることができます。
免疫力の低下が老化を進めます。
老化による低下はオートファジーの低下によるもの。
だからオートファジーを上げるのが大切なことです。



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