肩こり
肩こりは腰と並び最も身近なもので、多くの人が持つお悩みです。
一言に「肩こり」と言ってもさまざまな原因から起こります。
肩こりと言っているものの多くは首に原因がある場合が多いです。
また、首こりは場所としてはうなじのあたりが最も多く、首の横や前もお悩みの方が多いです。
また頭や顎、腰の状態の悪さから肩こりが起こる場合もあります。
肩こりの肩とは、五十肩のような肩関節ではなく、肩と首の継ぎ目のあたりのことです。
夏目漱石の「門」にも下記の文章があります。
『頸と肩の継目の少し背中へ寄った局部が、石のように凝っていた』
いかがでしょうか。
まさに、そこ!という表現です。
肩というよりも「首こり」といったほうがより正確な気がします。
また最近では肩甲骨のこともよく言われるようになりました。
肩甲骨には17種もの筋肉がついてます。
首、腕、背中、胸などと肩甲骨をつなぐ筋肉があり、肩こりに影響します。
肩こりの原因
①筋肉の疲労(大多数)
- デスクワーク等による長時間同じ姿勢でいること
- 不良姿勢
- 机と椅子が体にあっていない
- 不良姿勢による長距離運転 などなど
同じ筋肉に負荷をかけ続けて筋肉が疲労をおこして肩こりの原因となります。
②体型
肥満、なで肩、猫背、筋力が弱い方で同じことをしても人よりも肩がこりやすい、体が疲れやすい方はこれに該当します。
③生活習慣など
運動不足や服装、アクセサリーなどによっても肩こりが起きます。
体を無駄にしめつけたり重すぎる服やアクセサリーを身につけたりすると不良姿勢になり、血行が悪くなり、ストレスにもなります。
これら肩こり・首こりの原因の土台になるのが座りすぎと不良姿勢です。
日本人は他の国の人達よりも座りすぎという調査結果があります。
長時間座ると良い姿勢を保つのは不可能です。
昨今のスマホやパソコンの使いすぎが大きな要因の一つです。
車の運転も要因の一つです。
腕を前に伸ばして行うので首や肩に負担がかかるからです。
定期的に運動をしていても長時間座ると結果は同じです。
寝違えもまた不良姿勢などで負担がかかっているところに、寝ている間に寝相が悪くてさらに負担をかけたり冷えたりすると起こりやすいです。
これら以外に背骨や関節の異常、目・耳・鼻・顎・歯などの異常、心因性ストレス、内臓や婦人科系の不調など様々な原因があります。
寝違え
朝起きたら首が痛くて回らない、回せない。
こんな経験をしたことは一度はあると思います。
非常につらいですですよね。
車の運転は後ろを振り向けないからできません。
激痛はある程度の期間を過ぎるとおさまっても、一か月くらい痛みや違和感が残る場合もあります。
これは不良姿勢、運動不足や過労、同じ姿勢の作業や長時間の読書、パソコン作業などで根をつめて頚の筋肉に負荷がかかりすぎている状態です。
また、寝ている時に冷えたり、深すぎる睡眠により寝返りをうたずに同じ姿勢で寝ると、寝違えになることがあります。
病院に行くとたいていの場合シップを渡されるか、痛みがひどい時は鎮痛剤を処方されるようです。
急性期は強いマッサージは避けましょう。
炎症がよりひどくなり、さらに症状をこじらせる可能性が高まります。
肩こりの主な施術部位
肩甲挙筋
肩甲挙筋は首の横から肩甲骨の内上角に付く筋肉です。
首をすぼめるときや、後ろを振り向くときに使います。
首の付け根の痛みやコリ感の原因はこの筋肉がメインです。
上半身にやたら力が入りやすい人や、緊張しやすい人はたいていここがカチカチに凝り固まっています。
神経がすぐそばを通っているので筋肉が固まると神経を引っ張ってしまうので痛みがでやすくなります。
僧帽筋
肩こりといえば必ず名前が挙がるのが僧帽筋です。
後頭部の下部から肩甲骨や鎖骨に付き、背中の真ん中あたりまである大きな筋肉です。
背中の最表層にあります。
筋肉のはたらきが上部、中部、下部で異なります。
・上部は主に肩甲骨を上げます。
肩甲挙筋とともに肩をすぼめるときに使います。
首を前後に動かす
片側だけ動かすと横を向く
上方回旋といって、左だと肩甲骨が時計周りに動くときに使います。
猫背、巻き肩の人は肩甲骨の位置が、外転・上方回旋で固定化されている場合があります。
多くの人は上部ばかり使っておりカチカチですが、下部はあまり使えていません。
特に猫背の人がそうです。
・中部は肩甲骨を内に寄せます
胸椎の伸展(背中上部を反らす)したり、片側だけ動くと側屈します。
・下部は肩甲骨を下げます
下方回旋といって、左側でいうと、肩甲骨が時計の反対回りに動くときに使います。
胸鎖乳突筋
この筋肉は名前が示す通り、胸骨と鎖骨から耳の後ろにある乳様突起に付いてます。
そして左右の胸鎖乳突筋は後頭部の骨面をファシアで覆っています。
耳の下、顎の横、首の横などを通る筋肉なので、ここが凝り固まると首だけでなく後頭部、目、耳、顎関節など多くの場所で不調をきたします。
首の横を通る椎骨動脈の関与や首を通る自律神経を刺激する可能性があります。
スマホやパソコンで下を向き続けている人はカチカチになっている人が多いです。
胸鎖乳突筋とつながる広頚筋という首の前方最表面を広く覆う筋肉も緊張して表面の皮膚にしわが寄り、年齢よりも老けて見えてしまいます。
後頭下筋
後頭下筋群は頭部の姿勢維持のため常に緊張を強いられている深部にある筋肉群です。
表層にある筋肉はおもに体を動かす時に働く筋肉です。
表層にある筋肉は深部の筋肉と比較すると伸縮性に富み、絶えず動いているため血流が良く、筋肉に張りがでたとしてもしつこいコリにまで育つことはありません。
比較的短い期間で元に戻ります。
しかし、深部の筋肉は姿勢を維持するときに常に動きを支持、制御、つまり固定する働きをします。
深部の筋肉は常に緊張を強いられるため、表層の筋肉よりも固くなりやすいのです。
そして表層の筋肉や骨、内臓などに囲まれているため常に圧力がかかっています。
このような環境下で特に負荷のかかる場所にいわゆるコリ、シコリができるのです。
組織が固くなると血管が圧迫され血流量が減り、酸欠や栄養状態が悪くなり代謝障害が起こしやすくなります。
するとさらに筋肉は固くなり悪循環に陥ります。
さらにこれらの筋肉(固有背筋)は自律神経に影響を及ぼします。
自律神経は交感神経と副交感神経が拮抗的に働くことにより生体の恒常性を保ち健康な状態を維持できるよう働いています。
緊張時、緊急時、ストレスがかかったときは交感神経が亢進し、リラックス時には副交感神経が亢進します。
この切り替えがうまくいっている人は健康です。
しかし、常に肉体的・精神的ストレスにさらされている人は交感神経が亢進され続けているため、本来副交感神経が優位な場面でもうまく切り替えることができません。
この状態が続くとになることがあります。
切り替えができない原因の一つに筋肉、特に深部の筋肉である固有背筋の緊張・コリがあります。
固有背筋(姿勢筋)の支配神経は脊髄神経後枝で、交感神経節と交通枝でつながっています。
したがって交感神経、脊髄神経それぞれの興奮は相互に伝導します。
つまり脊髄神経の興奮、つまりは固有背筋の緊張は交感神経を亢進させるのです。
と、いうことは固有背筋の緊張・コリを解きほぐすと交感神経の亢進が鎮まり、副交感神経が優位になるということです。
後頭下筋とは大・小後頭直筋と上・下斜筋の4つの筋肉を指します。
これらは後頭部に位置し、主な機能は後方に引いて直立位に保持することと頭部の回旋です。
支配神経は第1頸神経の後頭下神経後枝です。
固有背筋である頭板状筋や半棘筋などのさらに深部にあります。
後頭下筋に刺鍼するということは、それより浅層にある固有背筋を刺し貫いて刺激を与えることになります。
加えて頚部にも刺鍼します。
これらの筋肉に直接刺鍼して血流を回復させ代謝を改善させることにより緊張・コリを解きほぐすことで頸や肩のコリ、痛みを取り除くだけでなく、自律神経の調整も期待できます。
頚長筋
鍼灸院では頚の後ろ側によく鍼をします。
後頚部には多くの筋肉が多層に付着しており、ツボが多数存在するからです。
当院でも頻繁に刺鍼します。
実は頚の前側にも重要な筋肉があります。
この筋肉こそが頚長筋なのです。
しかも頚長筋に沿って交感神経幹が通っています。
この交感神経幹には神経節といって神経細胞が集まった所があります。
頚の上部に上部神経節、下部に星状神経節があります。
ここは頭、頚、肩、上肢、胸、心臓、気管支、肺など多くの器官の交感神経を支配してます。
現代病の多くは心身のストレスなどによる交感神経の過剰な緊張によるものです。
血管収縮による脳血流の低下、血圧の上昇、内臓機能の低下、筋肉の過緊張など、体に及ぼす影響は極めて大きいものがあります。
ペインクリニックで星状神経節ブロック注射が行われています。
これはブロック注射で過剰に働く交感神経の抑制を狙ったものです。
しかしながらブロック注射は交感神経の信号をブロックするだけのもので、交感神経を過剰に亢進させている根本原因にアプローチできていません。
では根本原因とは何かというと、頚長筋の過緊張です。
こういった理由で頚長筋刺鍼を行います。
頚部前面にある頚長筋がなぜ過緊張状態になるかというと、ほとんどの原因は不良姿勢です。
スマホやパソコンを長時間操作したり長時間椅子に座り続けたりすることで、頚椎の前弯と顎を引いたストレートネックの状態を繰り返して、頚長筋が持続的に緊張して凝り固まるのです。
この緊張の影響を交感神経節が受けます。
交感神経の持続的緊張は限界を超えると迷走神経反射を起こします。
つまり急激に副交感神経優位になってしまうのです。
これは陰陽理論の「極すれば転じる」という状態です。
これが自律神経症状が起こる原因です。
心拍の低下、冷や汗、吐き気、めまいなどの反射が起きます。
気道が狭くなって非アレルギー性の気管支炎を起こすこともあります。
重篤な場合、脳貧血になって意識を失うことがあります。
ですが、いきなり頚長筋に鍼をすることはありません。
周囲や表層の筋も同様に過緊張状態にあるからです。
背中や胸のあたりから筋膜リリースと刺鍼で脱力状態にしてからです。
ひどい人は足の指から腰臀部、腹部なども施術が必要です。
このため通常の施術と比べて技術的に高度なものが求められますし時間も要します。
自律神経の不調、不眠、心の不調の方には必須の施術です。
喉に鍼をするというと、怖いイメージがあると思います。
でも、実際はほかの場所に刺鍼するのと刺激量は変わりません。
斜角筋
斜角筋は、首の前外側に付く3つの筋肉です。
前から前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋と分かれています。
前斜角筋と中斜角筋は頸椎から第1肋骨に付きます。
後斜角筋は頸椎から第2肋骨に付きます。
前斜角筋と中斜角筋は左右どちらか一方がはたらくと首を同じ側の横に倒します。
あるいは顔を反対側にくるりとふり向きます。
左右両方が同時にはたらくと首を前に倒します。
付いている場所から分かると思いますが、パソコン作業のような同じ姿勢で前かがみでい続けるような状態や斜め下を見続けるような状態が続くとカチコチに凝り固まってしまいます。
この筋肉が凝り固まると肩こりや首こりだけで済まなくなることが問題になってきます。
理由は神経です。
図にある通り、腕神経叢が前斜角筋と中斜角筋の狭い隙間を通っているからです。
2つの筋肉がなんらかの理由で凝り固まることで神経を圧迫・刺激してしまい、腕神経叢が支配する領域(手や指など)が痺れたり動かしにくくなったりします。
首の痛みや頭痛を伴うこともよくあります。
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芦屋市 50代 女性 M.Tさん「痛みで困った時は気軽に相談に乗ってくれますので安心です」
首・肩こりがひどくてお世話になっています。先生はとても勉強熱心な方なので新しい施術法でいつもこりをほぐしてくださいます。痛みで困った時は気軽に相談に乗ってくれますので安心です。
※お客様個人の感想であり、効果には個人差があります。
30代 Yさん「酷かった肩こりだけでなく、体全体の不調が改善されました」
自分に合った鍼灸院を探しているなかで出会いました。酷かった肩こりだけでなく、体全体の不調が改善され、2年程通っています。特に驚いたのは、食いしばりによる顔のこりが改善されたことです。エラがなくなり楽になったとともに顔が2~3まわり小さくなりました。
今後も健康管理の一環としてお世話になります。
※お客様個人の感想であり、効果には個人差があります。
西宮市 50代 男性 T.Iさん「人に合わせた最新の施術を提供してくれます」
コロナで在宅勤務が始まり、慣れないパソコン作業が続き右腕が上がらなくなり、1Lのペットボトルも持てない状態になりました。元々、妻がお世話になっており、施術をすすめられました。しかし私は、「痛い」ことが大の苦手。鍼なんて大夫だろうか…と不安がありましたが日々悪化した為、藁にもすがる思いで通院を開始。丁寧なカウンセリング、筋膜リリースからの鍼施術は初心者の私にとってピッタリの施術内容でした。先生は大変研究熱心で人に合わせた最新の施術を提供してくれます。体の不調を感じておられる方に是非オススメしたいと思います。
※お客様個人の感想であり、効果には個人差があります。