必須栄養素 ビタミンB群①

2024年11月1日

ビタミンBは代謝に代謝に必要なビタミンで「B群」とあるように複数存在します。
ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類あります。
各種酵素の補酵素として働くものが多いです。
ビタミンB群を摂取すると、疲労感の解消や、皮膚炎、口内炎、じんましん、湿疹などのアレルギー症状の抑制、がんの予防、ストレスによるイライラや精神の落ち着きなどに重要です。

酵素とは

ビタミンB群は各種酵素の補酵素として働くものが多いと書きましたが、そもそも酵素とは?

体の中ではさまざまな化学反応が起こっています。
それぞれの反応を引き起こすために触媒として必須のたんぱく質が酵素です。
ヒトを含む生物が食べ物を消化・吸収・代謝するときに、体の中で起こるほとんどの化学反応に酵素が必須です。
しかし酵素はそれぞれ特定の反応しか触媒することができません。
例えば、たんぱく質を分解する酵素は、たんぱく質を分解することしかできず、でんぷんや脂質を分解することができません。
でんぷんや脂質を分解するためには別の酵素が存在します。
これを酵素の特異性と呼びます。
そのため、ヒトの体内には約5,000種類もの酵素があると言われています。
ほとんどの酵素の主要な構成要素はたんぱく質です。
そのため、他のたんぱく質と同じように加熱により構造が変化して、酵素の機能を失ってしまいます。
そして限られた環境条件の下でしか働くことができません。
多くの酵素はヒトや動物の体内で働くために、摂氏35度から40度の温度で最もよく働きます。
さらにそれぞれの酵素で、ある特定範囲のpHの条件下でしか働くことができません。
ヒトの体液のpHは7.35〜7.45なので、多くの酵素は中性付近のpHで最もよく働きます。
しかし胃の中は胃酸により強い酸性であるため、胃で働くたんぱく質を分解する酵素であるペプシンは、pH2という非常に低いpHの条件下で最も活性が高くなり中性付近ではほとんど働きません。
この酵素の働きを文字通り補助するのが補酵素で、ビタミンB群はその働きをしているのです。

だから自称酵素と謳っている健康食品を口から摂取しても胃腸で消化されるので、体内で酵素としての働きは一切ありません。
単にその健康食品に含まれる栄養素を、普段の食事で摂取する栄養素と同じように吸収するだけです。

ビタミンB1

ビタミンB1(チアミン Thiamin)は、各種酵素の補酵素として糖質及び分岐鎖アミノ酸の代謝
に不可欠です。
食事で摂った糖質は体内で酵素の働きによりエネルギーに変換されますが、ビタミンB1は酵素の働きをサポートするThDP(チアミンジリン酸)という補酵素に生合成されてはたらきます。
脳が働くためには大量のエネルギーを必要としますが、ビタミンB1はブドウ糖からのエネルギー産生を助けることで、脳・神経の働きを正常に保つ役割もしています。
欠乏すると、倦怠感、食欲不振、浮腫等を伴う脚気(かっけ)、ウエルニッケ脳症、コルサコフ症候群等が起こることがあります。
ビタミンB1は水に溶けやすく、加熱やアルカリに弱いため、保存や調理の過程でかなり破壊されます。食品は新鮮な物で可能なものは生で摂るようにすると効率よくビタミンB1を摂取できます。
確実に補給したい場合は、サプリメントの利用がよいでしょう。
ビタミンB1は他のビタミンB群と互いに協力し合って働くので、サプリメントなどで摂る場合は単一成分ではなく、他のビタミンB群が含有された物を選ぶとより高い効果が期待できます。
ビタミンB1とB2は同量摂るのが良いと言われてます。
ビタミンB1が多く含まれる食品は、豚肉、レバー、ウナギ、玄米、全粒粉などです。

ビタミンB2

ビタミンB2(リボフラビン Riboflavin)は、フラビン酵素の補酵素の構成成分として、ほとんど
の栄養素の代謝に関わっています。
ちなみに、フラビン酵素とは色素タンパク質の一種で、ビール酵母から発見されました。
黄色を帯びていることから黄色酵素とも呼ばれます。
フラビン補酵素は、ビタミンB2(リボフラビン)にリン酸やアデノシンが結合した化合物で、酸化還元酵素の補酵素として働きます。

食事で摂った脂質、糖質、タンパク質を体内でエネルギーに変換する際にFAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)という補酵素に生合成された後に働く重要なビタミンです。
特に脂質の代謝に欠かせません。
ビタミンB2は「発育のビタミン」とも呼ばれ、発育促進や皮膚、髪、爪などの細胞の再生に役立ちます。
欠乏すると皮膚や粘膜が敏感になり、口内炎や口角炎、口唇炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、結膜炎などが現れることがあります。
肌荒れや髪のトラブルを起こしやすい人や、目が充血してゴロゴロするといった症状のある人も、潜在的にビタミンB2が不足している可能性があります。

成長期の子どもにビタミンB2が欠乏した場合は、成長障害が起こることもあります。欠乏は食事からの摂取不足の他、抗生物質や精神安定剤、副腎皮質ホルモン、経口避妊薬などを多量に服用した場合に起こることが知られています。

さらにビタミンB2には、代謝の過程で発生した過酸化脂質を除去する働きもあります。
過酸化脂質は動脈硬化や老化を進める有害物質であるため、ビタミンB2の摂取は様々な生活習慣病の予防にもつながります。
炭水化物、脂質、タンパク質の代謝、エネルギー産生、薬剤や毒素の代謝など、さまざまな代謝経路で酸化還元反応に関わっています。
ビタミンB2が多く含まれる食品はレバー、豚肉、牛肉、ウナギ、サバ、卵、牛乳などの動物性食品や、海苔、アーモンド、納豆、まいたけなどにも豊富です。

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