必須栄養素 マグネシウム

2024年10月1日

あらゆる生命活動に必須のマグネシウム

人が若く健康であるためには、生命活動の根幹である代謝がスムーズにおこなわれることが大切と、繰り返し述べてきました。主要ミネラルの中でも多くの量を必要とするマグネシウムは、体の中のすべての細胞や骨に存在し、代謝をはじめとするあらゆる生命活動に関与しています。
エネルギー(糖・脂質)の代謝・合成、体温調節などに関連します。
特にタンパク質の合成に必要です。
カルシウム、ビタミンC、リン、ナトリウム、カリウムの代謝に必要です。
カルシウムと共に骨や歯の健康の維持に必要で、カルシウムの作用と密接に関与しています。
筋肉の収縮運動を正常にしたり、心拍を調整して血圧の正常化にも関与しています。
また、神経の刺激を伝達を抑制することにより、神経の興奮を抑えます。
マグネシウムは神経系、筋肉の収縮、健康な骨や歯の形成など重要な働きを担っており、体内の300種類以上の酵素反応に不可欠な存在です。ミトコンドリアでATPをつくるためにも、タンパク質を合成するためにも、最重要ミネラルのひとつです。

マグネシウムの摂取量と方法

食品として摂取したマグネシウムの吸収は主に小腸で行われ、腎臓で排泄されます。
腸管での吸収はビタミンDによって促進され、過剰のカルシウムやリンによって抑制されます。
1日の所要量—推定平均必要量が成人400~800mg
過剰摂取—通常の食品に含まれるマグネシウムの過剰摂取で健康障害が起こったという報告はありません。
ただし、食品に加えて医薬品やサプリメントを過剰摂取すると下痢が起こるリスクがあるため、通常の食品以外からの摂取量については
上限量 (成人350 mg/日、小児5 mg/kg体重/日) が設けられています。
腎機能が低下している人が過剰摂取すると
高マグネシウム血症(徐脈性不整脈、起立性低血圧、筋力低下、倦怠感etc.)のリスクが高まります。
欠乏症—通常の食事をしている健康な人では不足することはあまりありませんが、
たくさんお酒を飲む人、毎日運動などで汗をかき体力の消耗の激しい人は不足気味です。
骨粗鬆症、神経疾患、精神疾患、不整脈、血圧上昇、動脈硬化、心疾患、筋肉収縮異常
などのリスクが高まります。
マグネシウムはカルシウムと拮抗的に働くので、心疾患の予防の観点から、マグネシウム摂取量はカルシウム摂取量の約半分が理想的と考えられていますが、カルシウムの摂取量に対するマグネシウムの相対的摂取不足が、種々の疾患の誘因として重要視されています 。

多く含む食品—ごま、アーモンドなどのナッツ類、海藻類、魚介類、大豆などの豆類、コーヒー、ココアetc.

またマグネシウムは水に溶けやすく、経皮吸収型のマグネシウムローションを塗ったり、エプソムソルトを入れた風呂に入ったりすることでもマグネシウムを取り込めます。
頻度は必要に応じて、数日おきにしましょう。
以下の症状には直接皮膚に塗布すると即効性が高いです。

  • 偏頭痛や眼精疲労
  • アトピー性皮膚炎
  • 乾燥肌や年齢肌
  • 腰痛や坐骨神経痛
  • こむら返り
  • 筋肉痛、筋肉のけいれん
  • 肩こりや首コリなど

マグネシウム欠乏による症状

・不安神経症、パニック障害、うつ病
・偏頭痛、疼痛
・肩関節石灰沈着症(肩や腕の痛み)、腰痛、ぎっくり腰
・高血圧、脳卒中、頭部外傷や脳外科手術のダメージ
・高コレステロール血症
・肥満、メタボリック症候群、糖尿病
・PMS(月経前症候群)、月経困難症、多嚢胞性卵巣症候群
・不妊症、子癇
・脳性麻痺
・骨粗しょう症
・腎臓結石(カルシウム結石)
・気管支喘息
・パーキンソン病
・アルツハイマー病
・慢性疲労症候群、線維筋痛症
・化学物質過敏症
・がん
などなど

マグネシウムの欠乏によってさまざまな機能が滞ります。
まず、免疫系に与える影響です。
免疫細胞が異物をキャッチしその能力を発現する時、マグネシウムが必要です。
しかし不足すると正常な免疫力が発揮できなくなります。
つまり異物やウイルスから体を守れません。

マグネシウムは高血圧を抑える作用があります。
足りない場合は、血管系や心臓系の疾患リスクが高まってしまいます。

糖尿病の人は、マグネシウム値が低い傾向にあります。
血液中のマグネシウム値が最も低い人は、最も高い人に比べて2型糖尿病を発症するリスクが約2倍あるという症例報告があります。
一方、マグネシウムのサプリを適切に摂取すると2型糖尿病の高齢者のインスリン産生が改善した、という症例報告があります。

偏頭痛など規則性の頭痛に悩む人も、血中や脳内のマグネシウム値が低い場合が多いです。
マグネシウムのサプリを適切に摂取すると頭痛の頻度を減少させるという症例報告も多数あります。

マグネシウムが不足すると心臓病、糖尿病、がん、脳卒中、骨粗しょう症、関節炎、喘息、腎結石、偏頭痛、PMS(月経前症候群)、足や瞼のけいれん、こむら返りなどを引き起こします。

マグネシウムが充足すると、これらの疾患や不調を改善したり発症を予防したりすることができます。マグネシウムは正常な筋肉、脳や神経の機能を維持し、心臓のリズムを安定させます。
そして健康な免疫システムをサポートし、骨を強く保ってくれます
つまり、体のあらゆる組織が機能するために必須のミネラルなのです。

関連記事