鍼灸

2023年09月18日

鍼灸(しんきゅう、はりきゅう)は
鍼:不調に対してツボに細い専用の鍼を刺入する
灸:艾(もぐさ)をツボに据えて燃焼させ熱刺激を加える
事を指します。
生体に侵害刺激を加えることで人体に備わっている自己治癒力を活性化して心身を健康にする施術メソッドです。

中国に起源がある鍼灸は東洋医学の一分野で少なくとも3000年以上の歴史があります。
日本では記録が残っている最古のものは飛鳥時代で仏教と共に伝来したと言われてます。

鍼灸の施術は大きく分けると東洋医学の理論に基づく見立てや施術、西洋医学に基づく検査や機能解剖学に基づく施術があります。
同じ人体の同じ症状に対して施術するので、結果として同じような箇所に施術することが多いです。

刺鍼するときに鍼管というストロー状の管に鍼を入れて狙った箇所に施術します。
これは江戸時代初期に杉山和一が発明しました。
中国では今でも手首のスナップを使い、直接刺鍼をしてます。

お灸は昔の言葉で『やいと』とも言います。
ヨモギを加工した艾(もぐさ)を直接皮膚に据えて少し火傷させて行う方法、寸前で火を消す方法、皮膚から少し離した場所から輻射熱で温熱刺激を与える方法などがあります。
写真にあるのはセルフケアにも使われるタイプです。
紙や黄土の台の上に固めたもぐさや炭化したもぐさでできたお灸です。

健康のために日頃から灸を据えていたことが伺えるのが松尾芭蕉の奥の細道です。
序文の中で、旅の途中に足の三里に灸を据えることが記述されています。

鍼灸の作用機序

人体は侵害刺激を受けると免疫力が働き、自己治癒力が賦活されます。
侵害刺激を受けた場所の血管が拡張し、酸素や栄養を含む血液が誘導されます。
新陳代謝が活発になり細胞分裂や古い細胞が消え、新しい細胞が増殖します。
血液には白血球など異物と戦う物質もあります。
さらには脳内で鎮痛作用のあるモルヒネ様物質が放出されます。
支配下にある筋・筋膜に刺激を加えることで感覚神経、運動神経、自律神経にも作用します。
また、セロトニンやドーパミンの分泌作用も報告されています。
その結果体の恒常性が保たれるようになり、心身ともに健やかになれるのです。

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