五行

2023年12月2日

五行とは

起源は古く、殷時代の宗教的観念にまでさかのぼります。
はるか古代では、どこの国でも自然を神として畏れ敬うので、物事の考え方の中心になります。
たとえば四方(東西南北)の風を風神と言います。
後に天の四方を司る青龍、白虎、朱雀、玄武という四神がそうです。
この考え方は現代の日本でも使われてます。
ご存知ですか?

大相撲で青房下とか白房下とか力士の取組前の紹介時に使われています。
青や白が方角を表しているのです。

青=東
白=西

番付でも東の横綱とか西前頭とかいいますよね。
ちなみに朱(赤)=南
玄(黒)=北です。
この四方に加えて黄龍=中央の黄色で五行に対応します。

五行とは、中国の古代人が日常的に必須要素である

木・火・土・金・水

の5つです。
農耕社会の古代中国らしいですね。
土は万物を生じ万物を帰すところとも言われ、『土載四行』と表現されることがあります。
水と火 飲食に必要なもの
金と木 農耕道具に必要なもの
土   農作物を植えて育てる場所として必要なもの

そして五行それぞれの性質と特徴を次のように考えています。

木・・曲直=昇発、条達、のびやか
木が春になると芽を吹き、上へ上へと伸びていく

火・・炎上=温熱、上昇
火が燃え熱気が上昇する

土・・稼穡=生化、受納
土に種をまき、育て、収穫して食べる。母なる大地

金・・従革=清潔、粛降、変革、収斂
変革。上へ伸び成長てたものが、反転して下り、縮みまとまる

水・・潤下=寒涼、滋潤、下行
水が上から下へ流れる、潤す、冷たい状態

五行理論は天文歴、政治、道徳、その他すべての物事の基礎理論に応用されました。
さらに拡大されて医学の分野にも採用され、人と自然との関係そして人体内部の臓腑の相互関係を明らかにし、病理、診断、予防、治療など、伝統医学(漢方)の理論的基礎をつくりました。
これらを分類・整理したものが左にある五行色体表といいます。
多くの項目がありますが、これでも一部しか表示されていません。

五行の特徴

五行の性質、特徴を基に自然界や人体を5つに分類した例をあげてみます。たとえば下の五行の関係図を御覧ください。

五行には特定の法則があります。
・特定の相手と親子関係にあるということ
木が摩擦すると火が生じます
火から生じた灰から土が生じます
土が堆積した中から金が生じます
金を冷やすと表面に水が生じます
水を吸って木が生じます

図には違った説明がついてますが、大意は同じです。
このように
木⇒火⇒土⇒金⇒水⇒木・・・・
と終わりがない輪になり循環を繰り返します。
これを相生関係といいます。

・特定の相手に対して支配関係にあるということ
木は土に根を張り栄養を吸収します
土は水をせき止め、よどませます
水は火を消します
火は熱で金を溶かします
金は刃物となって木を切り倒します

このように
木→土→水→火→金→木・・・
と終わりがない星型に循環を繰り返します。
これを相克関係といいます。
この関係性が保たれているのがバランスのとれた良い状態です。
いずれかが強くなりすぎたり、あるいは弱くなりすぎたりするのが不均衡な悪い状態です。

五行と臓腑

五行学説を東洋医学にも応用して、より理論的に体系化した医学に高めるようになりました。
臓腑やそれ以外の器官、経絡やいわゆるツボの関係を五行の特性に相応するよう分類しました。
そして相生・相剋関係も単なる理屈のための理論ではなく、臨床に使える理論として組み立てました。

相生関係
木は五臓で言うと、肝です。
その子の火は五臓で言うと、心です。
肝は血を蓄えて心を助けます。
火の子の土は五臓で言うと、脾です。
心の熱が脾を温めて助けます。
土の子の金は五臓で言うと、肺です。
脾が作る水穀の精微を脾の上へあげる性質で肺を養います。
金の子の水は五臓で言うと、腎です。
肺の下行する性質で腎を養います。
腎は蓄えた精で肝を養います。

相剋関係
肺金の気は下降することで肝陽の上へ上がりすぎる現象を抑制します。
肝木は条達(木の枝が分かれるように、四方に延び通じていること。勢力が広く及ぶこと。)の作用で脾気が滞らないように流します。
脾土は運化(運搬と消化)機能で腎水が氾濫しないように制御します。
腎水は潤す作用で心火が強くなりすぎないように防止します。
心火は 陽熱という特性で肺金の粛降が過剰にならないよう制約します。

このように五臓間の相互関係を生理機能に合致させました。

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